ナチス「黄金列車」の証拠なし、地質学者ら ポーランド
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【12月16日 AFP】第2次世界大戦(World War II)の終わりにナチス・ドイツ(Nazi)によりポーランドに埋められたとされる財宝を載せた「黄金列車」の存在を示す証拠はないと、研究者らが15日、明らかにした。
ポーランド南部クラクフ(Krakow)の権威ある鉱業学会(Academy of Mining)の専門家らは、トンネルは存在するかもしれないが、同国南西部の都市バウブジフ(Walbrzych)付近の現場に列車が存在する形跡はないと述べた。
この話は、2人の男性が地中探知レーダーをナチス・ドイツの装甲列車を発見したとに発表したことを受けて、今年9月に世界中のメディアで大きく伝えられた。
ポーランド人のピオトル・コペル(Piotr Koper)氏と、ドイツ人のアンドレアス・リヒター(Andreas Richter)氏は、地元の伝承でナチス・ドイツが強奪したとされる芸術品、宝飾品、金を積んだ列車が埋められているのを発見したと主張した。
だが、同学会のヤヌシュ・マデイ(Janusz Madej)教授(地質学)は、自身の調査団によると、現場にあるのは列車ではなく、「おそらくトンネル」だという。
同教授はAFPの取材に対し、同地域の地質学的調査で若干の特異な点があったとしながらも、磁気、重力、地中レーダーを使った探査によれば「そこに列車がないことは100%確実だ」と語った。
コペル氏とリヒター氏は、さらに発掘調査をすればトンネルの奥深くに埋まっている列車の位置を突き止めることができるだろうと主張している。両氏はその費用を自分たちで負担するとしており、あとはバウブジフ市役所が発掘を進めてよいと判断するか否かにかかっている。
黄金列車の伝承とは別の話だが、実際にナチス・ドイツは強制収容所の被収容者たちを動員して、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の参謀本部のための防空壕にするとともに、欧州各地で略奪した財宝を保管する場所として、バウブジフに200ヘクタールに及ぶ地下迷路を建設した。(c)AFP