【12月10日 AFP】米国人の平均寿命は3年連続で横ばいとなっているとの政府統計が9日、発表された。数十年間にわたって着実な伸びを示してきた後の停滞状態だという。

 米疾病対策センター(CDC)が発表した報告書によると、米国で2014年に生まれた子どもの推定寿命は、全体平均が78.8歳で、女性平均81.2歳、男性平均76.4歳だという。

 また、CDCの報告によると、2014年には乳児死亡率が低下し、1歳以下の新生児1000人当たりの死亡数が5.8人と記録的な低死亡率となっているという。

 過去に平均寿命の伸びが3年間止まったことは、1980年代に1度ある。

 だが全体としては、米国人の寿命は第2次世界大戦(World War II)以降、ほぼ継続的に増加を続けてきた。この主な原因は、医学の進歩、栄養と教育の向上、禁煙運動などの公衆衛生政策などとされている。

 平均寿命の伸びが最近停滞している原因については、完全には明らかになっていないが、違法薬物の使用や自殺による死亡数の急増が要因となっている可能性があると一部の専門家らは指摘している。

 2015年ノーベル経済学賞(Nobel Prize in Economics)を受賞した米国人経済学者、アンガス・ディートン(Angus Deaton)氏が11月に発表した研究論文では、1978年以降減少を続けていた米白人の中高年層の死亡率が、15年間にわたって増加傾向にあることが示唆されている。これについては、特に社会的に恵まれない環境に置かれた人々の間でのアルコールや薬物の乱用と自殺がその背景にあるとされる。

 死亡者の数が多かったのは順に、心臓疾患、がん、慢性呼吸器疾患、偶発的な負傷、脳卒中、アルツハイマー病、糖尿病、インフルエンザ、肺炎、腎疾患、自殺となっている。これらは全体の73.8%を占め、順番は昨年と同じだった。

 この中で、心臓疾患患者の死亡者数は1.6%減少、がん患者の死亡者数は1.2%減少している。

 一方、米国の高齢者層でその数が増加しているアルツハイマー病患者の死亡者数は8.1%、自殺と事故による死亡者数は3%と、それぞれ増加した。(c)AFP