仏テロ容疑者の父親、知っていたら「息子を殺していた」
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【12月10日 AFP】フランス・パリ(Paris)で先月13日に起きた同時テロ事件で、現場の一つとなったコンサートホール「バタクラン(Bataclan)」の3人目の襲撃犯として特定されたフランス人の男の父親が、もし襲撃計画を知っていたら「息子を殺していた」と語った。
当時、米ロックバンドのコンサートが行われていたバタクランでは、今回の同時テロの現場の中では最多の90人が死亡した。同ホールで自爆した3人目の襲撃犯として9日に新たに特定されたファウド・モハメド・アガド(Foued Mohamed-Aggad)容疑者(23)は、仏東部ストラスブール(Strasbourg)出身でシリア渡航歴があった。
同容疑者の身元が特定された後にAFPの取材に応じた父親のサイド・モハメド・アガド(Said Mohamed-Aggad)氏は「言葉もない。(息子が襲撃犯だということを)今朝、初めて知った」と述べ、もし襲撃計画を知っていたら「この手で彼を殺していた」 と語った。
■母親へのメールが決め手に
ファウド容疑者の母親の弁護人、フランソワ・コッタ(Francoise Cotta)氏によると先月末、母親のもとに「あなたの息子は11月13日、兄弟とともに殉教した」という内容の電子メールがシリアから送信された。同国にいるファウド容疑者の妻が送ったものとみられる。
息子がバタクランの自爆犯の一人かもしれないことを知り衝撃をうけた母親は、すぐに警察に報告。DNA鑑定用のサンプルを提供し、先週末にこれがファウド容疑者のものと一致したことで、身元特定に至った。
こうした母親の協力がなければ、ファウド容疑者の身元が特定されることはなかっただろうと、コッタ氏は話している。
バタクランを襲撃した他の2人、オマル・イスマイル・モステファイ(Omar Ismail Mostefai)容疑者(29)とサミ・アミムール(Samy Amimour)容疑者(28)もシリア滞在歴のあるフランス人だった。
■小さな町からシリア渡航者続出
ストラスブール北方の小さな町ウィサンブール(Wissembourg)で、ファウド容疑者の家族の隣人は、シリアに渡航するまで同容疑者は母親と暮らしていたと語った。同容疑者の母親と父親は別居している。
少年時代のファウド容疑者にサッカーを教えていたという男性は同容疑者について「とても良い少年だった。だが、すぐに影響されやすいところもあった」と語った。一方、容疑者の友人らは、酒やドラッグが好きだったと話す。
ウィサンブールからはファウド容疑者を含め、10人の若者がシリアにわたっている。うち2人は死亡し、残りは2014年5月に帰国した後に、テロ容疑で身柄を拘束された。(c)AFP/Marie Giffard、Francesco Fontemaggi