【12月10日 AFP】英スコットランド(Scotland)自治政府は9日、2016年米大統領選挙の共和党指名候補争いで首位を走る不動産王ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏(69)を「ビジネス大使」から解任すると発表した。英国では、トランプ氏がイスラム教徒の米国入国を「完全に」禁止すべきだと提案したことに反発が広がっており、スコットランドの大学は同氏の名誉学位をはく奪。同氏の英国入国禁止措置を求める署名は、35万8000人を超えた。

 トランプ氏は先祖がスコットランド出身で、同地に複数のゴルフ場を所有している。スコットランドのビジネス大使には2006年に任命されていた。しかし、スコットランド自治政府の報道官は「最近の発言から、トランプ氏はもはやスコットランドのビジネス大使に適任ではないと判断した」と述べた。

 一方、スコットランド・アバディーン(Aberdeen)にあるロバート・ゴードン大学(Robert Gordon University)は、2010年に同氏に授与した企業経営学の名誉学位をはく奪すると発表した。トランプ氏の発言が「大学の精神や価値と全く一致しない」ためだと説明している。

 英国では、署名数が10万人に達した請願は全て議会での審議を検討する対象になるため、トランプ氏の英国入国禁止要求も英議会で審議される見通しだ。

 請願文は、「英国はヘイトスピーチ(憎悪表現)を理由に多くの人物の入国を禁止してきた。英国への入国を希望する誰に対しても、同じ原則が適用されるべきだ」と訴えている。署名を呼び掛けたスコットランド在住のスザンヌ・ケリー(Suzanne Kelly)さんは、長年トランプ氏を批判してきた人物で、ロバート・ゴードン大学にも名誉学位をはく奪するよう働き掛けていた。(c)AFP/Naomi O'LEARY