【12月9日 AFP】オーストリア北部のドナウ(Danube)川流域に広がる風光明媚(めいび)なワッハウ(Wachau)渓谷では、多くのワインが生産されている。間もなくこの地では、美しい風景はそのままに、電力も生産されることになりそうだ。

「風力タービンは論外。太陽光パネルも厳しく規制されている」と、ドナウ川岸に位置する美しい街、シュピッツ(Spitz)のアンドレアス・ニュンザー(Andreas Nunzer)市長は説明し、「それでも、生活の質を損ねることなく地球温暖化対策に貢献できる方法を、われわれは見つけたのです」と述べた。

 それが、川の流れを利用した発電だ。

 このアイデアは、欧州の主要河川の一つ、ドナウ川の水面に、重さ6トンのブイ型の発電装置を設置するというもの。水中のタービンが川の流れで回転し、250人分の電力を生み出せるという。

 これまでに発電量40~80ギガワットのタービンの試作品3基が、ワッハウ渓谷で試験運用された。大胆な計画を抱くニュンザー市長は「9基を取得するのに必要な許可は全て得た。われわれのここで立ち止まるつもりはない。大量生産を待ち望んでいる」と語った。

 オーストリアの企業アクアリブレ(Aqua Libre)のフリッツ・モンドル(Fritz Mondl)共同社長によれば、技術開発には10年を費やした。来年には計画の次の段階が開始される見通しだ。(c)AFP/Philippe SCHWAB