【11月30日 AFP】トルコと欧州連合(EU)は29日、ベルギー・ブリュッセル(Brussels)で開いた首脳会議で、シリアなどから欧州に大量に流入している難民や移民の抑制のため、EUがトルコに30億ユーロ(約3900億円)を支援することで「歴史的」な合意に達した。

 欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)によると、EUは、トルコが国内のシリア難民約220万人を欧州へ流出させない見返りに、トルコのEU加盟交渉を加速させる。

 トルコのアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)首相は「歴史的な一日、歴史的な会合だ」と述べた。

 合意に基づき、トルコは密航業者の取り締まりを強化するほか、難民認定されなかった人々の送還についてEUと協力する。一方のEUは、2005年に始まったもののほとんど進展のないまま停滞していたトルコの加盟交渉を加速させる。

 トルコはEU加盟交渉の対象となる35章のEU法体系のうち、この10年間で1章しか手続きを完了していない。EUは、12月中旬までに経済・通貨政策分野(第17章)の交渉を再開することに合意。さらに、トルコとの首脳会議を年2回開催することでも合意した。

 EUはまた、トルコが強く要望していた欧州域内の自由な移動を可能にする「シェンゲン協定」加盟国への渡航ビザ(査証)の要件についても、2016年10月まで緩和することを約束した。(c)AFPDanny KEMP, Burak AKINCI