【11月29日 AFP】15-16フィギュアスケートグランプリ(GP)シリーズ第6戦、NHK杯(NHK Trophy 2015)は28日、長野県長野市で男子シングル・フリースケーティング(FS)が行われ、羽生結弦(Yuzuru Hanyu)が合計322.40点で優勝し、史上初めて300点の大台を突破した。

 圧巻の演技を披露し、女性ファンの悲鳴のような歓声を浴びた20歳の羽生は、300点の壁を軽々とクリアし、パトリック・チャン(Patrick Chan、カナダ)が持っていたこれまでの記録を更新した。

 羽生はFSで216.07点を記録。フリーで200点以上の得点が出たのは初めてで、計322.40点はチャンが2年前に記録した295.27点ともまったくレベルの違う、異次元の数字となった。

 4つの4回転ジャンプと7つの3回転ジャンプをすべて成功させた羽生は、演技を終えるとリンク上で何度も拳を振った。そして会場が歓喜に沸くなか、カメラの前で人さし指を天に向け、自らがフィギュア界のプリンスなのだと改めて示した。

 非常にリスクの高い攻めのプログラムを滑りきったことで、ライバルたちをはるか彼方(かなた)に置き去りにした羽生は、得点が発表されると、信じられないというように両手で顔を覆った。

 羽生は、「今はまだ興奮していて、なんと言っていいかわからない」と語った。

 ブライアン・オーサー(Brian Orser)コーチと抱擁を交わした羽生は、「ビックリしました」と報道陣に話しつつ、熱烈なファンに向けて「ありがとうございます」と感謝を口にした。

「本当に信じられないです。滑る前はすごく緊張していましたけれど、やってやると思っていました。五輪が行われたこのリンクで、自分が王者なんだというところを見せたかった。これからは、この得点を超えるために努力していきたいです」

 フィギュアスケートの概念を変えるような極上の演技を見せた羽生が、どうやってそれを成し遂げるかは、まだ想像がつかない。

 羽生と大差の2位には、中国の金博洋(Boyang Jin、ジン・ボーヤン)が入った。フリーで170.79点を記録した金は、合計で266.43点を記録し、羽生とともに12月に行われるGPファイナル進出を決めた。

 無良崇人(Takahito Mura)は合計242.21点で3位に入った。マキシム・コフトゥン(Maxim Kovtun、ロシア)は、いくつか大きなミスが出るなど忘れてしまいたいフリーとなり、ショートプログラム(SP)の4位から10位に順位を落とした。(c)AFP