気象災害死者数、20年で60万人 国連報告書
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【11月24日 AFP】国連(UN)は23日、気象関連災害の発生頻度が過去20年間で増大しており、60万人以上が犠牲となっているとの報告書を発表し、世界各国が気候変動に関する画期的な協定を結ぶ必要性を一層声高に訴えた。
国連国際防災戦略(UNISDR)から発表された報告書によると、1995年以降、洪水や暴風雨などの異常気象事象により死亡した人の数は60万6000人に上り、また「41億人が、負傷や家を失うなどの緊急支援を必要とする状態に陥った」という。
報告書には、増大分中のどの程度が気候変動によるものなのかを特定する方法は存在しないとあるが、地球の気候変動と異常気象との関連性は明白であると指摘されている。
マルガレータ・ワルストロム(Margareta Wahlstrom)UNISDR局長は、来週開幕予定の気候会議に言及して「仏首都パリ(Paris)で開催される国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)で、気候変動に関する新たな協定が結ばれることが非常に重要である理由を、今回の報告書の内容は浮き彫りにしている」と指摘した。
30日にパリで開幕するCOP21では、気候変動が危険水準に達する原因とされる温室効果ガスの排出を抑制するための、195か国が加盟する条約を策定する作業が行われる。
気象関連災害を追跡調査しているUNISDRの主要データベースは、2005~2014年の期間に、この種の災害事象を335件記録した。これは、その前の10年間に比べて14%増加、1985~1994年の10年間に記録された件数の約2倍となっている。
さらに報告書では、地球全体で「洪水や暴風雨の発生数に持続的な増加」がみられる上、干ばつ、熱波、極寒などの懸念もますます大きくなっていると指摘された。
UNISDRのデータによると、過去20年間に発生した気象災害のうちの47%は洪水で、主にアジアに暮らす約23億人が影響を受けたという。
また異常気象によって不動産やインフラにも重大な被害が生じている。異常気象により、民家8700万棟が破損または破壊された他、全世界で数十万に及ぶ学校、病院その他の重要な施設が被害を受けたと報告書には記載された。UNISDRのデータを用いた算定結果では、異常気象事象に起因する経済的損失は合計で1兆9000億ドル(約233兆円)に上るという。
気候変動と異常気象との間の相関関係を考えると、地球は「今後数十年に及ぶ気象関連災害の継続的な増加傾向に直面するだろう」と報告書は警告している。(c)AFP