【11月24日 AFP】中米パナマでは、砂浜の砂の中に産み落とされたウミガメの卵が、気温上昇による熱で、ふ化する前に蒸し焼きにされる危険にさらされているという。同国の環境保護団体が警告している。

 首都パナマ市(Panama City)近郊のプンタ・チャメ(Punta Chame)ビーチでは21日、ふ化装置の中で卵からかえったばかりのウミガメを海に放すイベントが開かれ、300人が参加した。

 環境保護NGO「トルチュギアス(Tortuguias)」のヘラルド・アルバレス(Gerardo Alvarez)氏は同イベントで、AFPの取材に「地球温暖化というと、やや終末論的な響きがあるが、カメの個体群にその影響が及んでいるのを、われわれはすでに目の当たりにしている」と語った。

「平均気温が全体的に2~3度上昇すると、巣が蒸し焼きにされてしまうため、多くの種類のカメが姿を消してしまう」とアルバレス氏は述べた。

 トルチュギアスが監視している太平洋岸の砂浜2か所では、気温の急上昇によって、ウミガメ数千匹が産み落とす卵の生存能力が脅かされていることが、同NGOの調査で分かった。

■雌雄の個体数比のバランスも崩壊

 また、砂の温度が高くなるほど、雌のウミガメがふ化する確率が上昇するという事実によって、雌雄の個体数比のバランスが崩れている。

「気温の急上昇は、36度にまで達している」とアルバレス氏は指摘した。

 ウミガメの卵が生存可能であるためには、砂の温度の範囲が26~35度でなければならない。砂の温度がこの範囲を超えると、内部のタンパク質が蒸し焼きにされた状態になり、ふ化が止まってしまう。

 アルバレス氏によると、砂の温度が26度くらいだと雄がふ化する確率が高い一方、32度を超えると雌のふ化が増加するという。

「このような状況では、ウミガメの個体群における雌の比率がますます高くなり、子どもをもうけるために雌とつがいになる雄の個体数が不足する」とアルバレス氏は説明した。(c)AFP