【11月23日 AFP】米国の若者21人が起こした気候変動に関する訴訟が、石油や石炭など化石燃料業界の注目を集めている──。同業界は、大気汚染物質のさらなる削減を求める若者らに反対する意向を示し、米政府を手助けする構えだ。

 8~19歳の原告らの中には、地球温暖化の原因である温室効果ガスの削減の提唱者として知られる、米航空宇宙局(NASA)の元職員で、著名な気候科学者のジェームズ・ハンセン(James Hansen)氏の孫娘も含まれている。

 米オレゴン(Oregon)州に本部を置くNPO「Our Children's Trust」によると、原告らは政府に対し、二酸化炭素排出量の大幅な削減と、未来の世代のための地球保護を目的とした「科学に基づく気候回復計画」の実行を求めているという。

 原告らは、二酸化炭素の大気濃度を現在の約400ppmから「2100年までに350ppm未満」にするため、「二酸化炭素排出量の速やかな削減」を政府に命じるよう、原告らの大半が暮らすオレゴン州の裁判所に訴えている。

 若者らの訴えが、業界の利益にとってなんらかの懸念材料となることが予測される中、大手の石油や石炭会社は今月初め、これに対抗する米政府と連携したいとの意向を示し、裁判所に許可を求めた。

 環境法に詳しい米コーネル大学(Cornell University)のジェラルド・トレス(Gerald Torres)教授(法律学)は、「化石燃料業界は、より厳格な気候変動プログラムの実行をめぐって、連邦政府に余計なプレッシャーがかかることを望んでいない」とコメントしている。

 原告の一人は、石油会社の介入について、「不安であることの表れ」だとし、「(インド独立の父の)マハトマ・ガンジー(Mahatma Gandhi)はかつて『無視され、笑われ、攻撃されるが、最後には勝つ』と語った。闘いは始まったばかり。勝つのはわれわれだ」と声明で述べた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN