米19州、シリア難民受け入れを拒否 パリ襲撃受け
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【11月17日 AFP】フランス・パリ(Paris)で発生した連続襲撃事件を受けて、米国の少なくとも19州が、シリア難民の受け入れを拒否する意向を相次いで表明した。
バラク・オバマ(Barack Obama)大統領は今年9月、来年9月までにシリア難民1万人を受け入れる計画を発表。ホワイトハウス(White House)は、「厳格な」審査手順を踏むことを理由に、計画の実施に伴うリスクの低さを強調していた。
だがパリ連続襲撃を受け、一部の共和党員からは、内戦が続くシリアから逃れた人々を信仰する宗教に基づいて選別するべきだとの主張も出ており、オバマ大統領はこの提案を「恥ずべき」ものとして批判。内戦下のシリアから逃れようとする人々を助けるため「対策を強化し米国にもできることをする」べきだと訴え、シリア難民受け入れ拒否の動きをけん制した。
今回発生したパリ襲撃で、死亡した1人の実行犯のそばからシリア旅券(パスポート)が発見されたことで、欧州では、シリアから流入する記録的な数の移民をどこまで受け入れるかについての議論が再燃していた。
来年の米大統領選の共和党候補指名争いに名乗りを上げているマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員とジェブ・ブッシュ(Jeb Bush)元フロリダ(Florida)州知事は直ちに、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員が紛れ込んでいる恐れがあるとして、シリア難民を受け入れるべきではないという考えを表明した。
さらに、共和党に所属する各州知事も、シリア難民の再定住計画の停止をこぞって要求した。15日にアラバマ(Alabama)とミシガン(Michigan)両州が同計画への反対を表明すると、アリゾナ(Arizona)、アーカンソー(Arkansas)、フロリダ(Florida)、ジョージア(Georgia)、イリノイ(Illinois)、インディアナ(Indiana)、ルイジアナ(Louisiana)、マサチューセッツ(Massachusetts)、ミシシッピ(Mississippi)、ネブラスカ(Nebraska)、ノースカロライナ(North Carolina)、オハイオ(Ohio)、オクラホマ(Oklahoma)、テネシー(Tennessee)、テキサス(Texas)、そしてウィスコンシン(Wisconsin)の各州がこれに続いた。
さらに、民主党のマギー・ハッサン(Maggie Hassan)氏が州知事を務めるニューハンプシャー(New Hampshire)州もこれに同調。また、人口に占める中東出身の移民の割合が最も高い州の一つであるミシガン(Michigan)のリック・シュナイダー(Rick Snyder)知事は、国土安全保障省が保安対策の「完全な見直し」を完了するまで、シリア難民の受け入れを一時停止することを決めたと表明した。一方、ワシントン(Washington)など少なくとも5州が、シリア難民受け入れの意向を引き続き表明している。(c)AFP/Stephanie GRIFFITH