【11月15日 AFP】13日夜にフランス・パリ(Paris)で発生した連続襲撃事件について、専門家らは14日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」がこの襲撃で示した実行力は、ISの手口がより巧妙になり、そのネットワークが世界に拡大しつつあることを示していると警告した。

 少なくとも129人が死亡した事件では、ISが犯行声明を出した。ISはフランスを含む欧州各国を暴力で繰り返し揺さぶってきたが、欧州における大規模な攻撃は今回が初めて。

 専門家らは、ISがイラクやシリアでの局地的な活動から、西側諸国へとその活動範囲を拡大させたことを示していると語る。外交政策調査研究所(Foreign Policy Research Institute)の上級研究員、クリント・ワッツ(Clint Watts)氏は「フランスでの攻撃は、ISが次の段階への表れである公算が大きい」との認識を示した。

 また、イスラム過激派の活動を研究しているアイマン・タミミ(Aymenn al-Tamimi)氏は、「欧州における影響という点で、前例のない攻撃であるのは間違いない。ISが「一匹おおかみ」型の支持者のみならず、欧州に高度なネットワークを有していることを示している」と述べた。タミミ氏は、フランスが(宗教上の)派閥を重視していることに加え、数多くのフランス人がISの戦闘員になっていることを考慮すると、パリが標的になったのは筋が通っていると語った。

 ワッツ氏は、フランスの過激派の問題に対する認識の遅れが、ISにネットワーク構築の余地を与えることになったと述べた。「フランスは深刻な問題を抱えている。シリアに行ったり、シリアから戻ってきたりした外国人戦闘員の数は、人口1人当たりで換算すると非常に多い」とし、比類がないほどの「テロリストを供給する格好のルート」になっていると語った。

 また、過激な思想を持つ人物がイラクやシリアへ渡航するのを阻止しようとする政府の対策により、こうした人物が「国内で行動を起こす」可能性もある、とも付け加えた。

 ISは犯行声明で、フランスがISの支配地域で行っている空爆を非難し、「(イスラム教徒に対する)十字軍の作戦を継続する限り」さらなる攻撃を実行すると警告した。フランスはシリアとイラクの両国で、米国主導の有志連合によるISへの空爆に参加している。(c)AFP/Maya Gebeily and Rouba El Husseini