【11月18日 AFP】ファストフードを食べるために、時には変装することもある京都の芸妓たち──。ファストフードが無性に食べたくなることは、大抵の人にとってはたいした問題ではない。しかし、優美に振る舞う彼女たちにとっては、大胆な作戦を伴うこともある大事なのだという。

 京都では芸者のことを芸妓と呼ぶ。彼女たちがフライドポテトを頬張っているところを世間の人に見られるのはご法度だ。そこで、芸妓や見習いである舞妓の中には、周囲の人にその素性がばれないよう、綿密な計画を立てる人もいる。

 祇園(Gion)のお茶屋でAFPの取材に応じた芸妓の菊丸(Kikumaru)さん(31)は、「(芸舞妓は)周りに与えるイメージに非常に気を遣わなければならない」と話す。京都には現在、芸妓が175人いるという。

 菊丸さんによると、基本的に舞妓は、ファストフード店やミニスカートが売っているような流行の店に行くことが禁じられている。ただ、どうしてもフライドポテトが食べたいと舞妓たちにせがまれた時には、ジーンズをはいて自らが買いに行き、置屋でこっそり食べるよう彼女たちに渡すのだという。

 お茶屋や置屋が並ぶ京都の「花街(Hana-machi)」は、17世紀に誕生して以降、何も変わっていないとの印象を見る者に与える。このことについて、菊丸さんは「日本の風習や文化を守り、伝統を継承していくのが芸妓の務め」と語る。また、外出時には歩き方や立ち振る舞い、行儀に常に気を配らなければならず、さらにフェイスブック(Facebook)の利用なども禁じられているという。

 芸妓の世界は「華やかとみられがちだが、実際は体力勝負のところが大きい」──菊丸さんはそのように話し、ジムに通う人もいるし、自身はヨガをやると説明する。

 舞妓の修行は義務教育を終えた15歳くらいから始まり、デビューはその約1年後。その後、芸妓を目指し、芸事や礼儀作法、会話術などの修行を約5年にわたって行う。こうして多くの場合、20歳ごろに芸妓としてデビューする。