EUが「入植地産」表示義務付け、ナチス想起とイスラエル激怒
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【11月12日 AFP】欧州連合(EU)は11日、イスラエルが占領を続けるユダヤ人入植地で生産された品物に、イスラエル産ではなく「入植地産」とラベル表示する加盟国向け指針を承認した。イスラエル側はナチス・ドイツ(Nazi)の反ユダヤ主義を想起させる決定だと怒りをあらわにしている。
EUは域内で販売される製品に原産地表示を義務付けている。今回承認された指針により、入植地で生産された農産物と化粧品は今後、加盟28か国で販売する場合は「イスラエル入植地産」と表示しなければならない。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、EUの決定を「恥ずべき」と非難した。だが、EUは現行の原産地表示規則を明確にしただけだと主張している。
イスラエルの入植地は、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸(West Bank)と、イスラエルが併合を宣言した東エルサレムとゴラン高原(Golan Heights)にある。いずれもイスラエルが1967年の「六日戦争(Six-Day War)」で占領した土地で、国際法の下では違法とされている。
EUでは2012年に初めて「入植地産」表示の導入が提起され、統一指針の承認が待ち望まれていた。一方、イスラエルはこの動きに対し長期にわたる強硬な反対キャンペーンを展開してきた。
訪米中のネタニヤフ首相は、「ユダヤ国家の産物にEUが(入植地産との)ラベル表示を付けるのは、暗い過去の記憶を呼び覚ます行為だ。欧州は不道徳な決定を恥じるべきだ」との声明を動画で発表。「世界各地には数百の領土紛争があるのに、EUはその中から、テロの波にあらがい背水の陣で戦っているイスラエルだけを採り上げている」と非難した。
ネタニヤフ首相は9月、「入植地産」表示について、ナチス時代にユダヤ人の生産物に貼られたラベルと同様だと批判していた。(c)AFP/Danny KEMP