【11月10日 AFP】英気象庁は9日、2015年の世界の平均気温が観測史上初めて、産業革命以前の水準を1度上回るとの見通しを発表した。

 英気象庁は「今年1月~9月の観測データは、世界平均気温が1850年~1900年の水準を1.02度上回っていることを示している」ことを明らかにし、「人間による影響に起因する気温上昇が世界で続いている中で、これは重要な指標を示すものだ」と指摘した。データの誤差範囲は0.11度だという。

 英気象庁ハドリー・センター(Hadley Centre)のスティーブン・ベルチャー(Stephen Belcher)所長は「今年は熱帯太平洋で強力なエルニーニョ(El Nino)現象の発生が観測されており、これが今年の世界気温に何らかの影響を及ぼすに違いない」と述べる。そして過去にも同様の自然事象は起きているが、1度の指標に到達するのは今回が初めてで、人間の(活動による)影響が、現代の気候を未知の領域に突入させていることは明白だとの見解を示した。

 さらに英気象庁は、2016年も同様に気温が高い年になること示唆する初期の兆候がみられるとしながら、「それ以降の年に何が起きるかを正確に予測することは難しいが、気温上昇が長期的に継続することが予想される」と続けた。

 気候監視・分析部門を統括するピーター・ストット(Peter Stott)氏は「今年は重要な初めての年となったが、これは必ずしも、産業革命以前の水準を1度以上上回る年が今後毎年続くことを意味するわけではない。どの年でも、自然変動が依然として、気温を決めるのに重要な役割を果たすからだ」と説明する。

 しかしながら、「世界の気温が今後数十年間上昇を続ける中で、1度の指標を上回る年がますます増えることは避けられず、最終的にはそれが標準となるだろう」と付け加えた。(c)AFP