【11月10日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会は9日、ロシアの陸上界にはドーピングがまん延しているとする報告書を発表し、来年のリオデジャネイロ五輪など全ての大会で、同国の選手を出場停止にすべきだと勧告した。

 同報告書によると、ロシアでは当局も承知の上で組織的な不正行為があったという証拠が見つかり、ロシアの研究所で実施された陸上選手の薬物検査は完全に信頼性を欠くものであるという。

 3人で構成される同委員会の責任者を務めるリチャード・パウンド(Richard Pound)元WADA会長は、「とても憂慮すべきこと」と述べると、不正行為の範囲についても「想定していたよりひどい」とつけ加えた。

 同委員会は国際陸上競技連盟(IAAF)に対し、ロシア陸上競技連盟(ARAF)を資格停止処分にするよう勧告し、同連盟が世界的なドーピング規則を「順守していない」と断言した。

 IAAFのセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は、問題の報告書に対する説明を準備する時間として、ロシア側に13日までの猶予を与えた。

 コー会長は会議用の電話で「説明を求める」と述べ、「申し立てに大きな衝撃を受けている」と続けた。

「私としてはまだ、ロシアの隔離ではなく参加を奨励したい気持ちだ。しかし、報告されたことに関しては(IAAF)評議会のサポートを得ながら、週末までに彼ら(ロシア陸連)の報告を受けたい」

 IAAFは13日までに評議会を開き、五輪の目玉競技が直面する危機について議論することになっている。

 WADAの委員会からの報告を受け、露スポーツ省は「驚いた点はそう多くない」とする声明を出している。

「われわれは、ロシア陸上連盟の問題を承知しているし、対策も行ってきた。新会長と新監督を迎え、コーチングスタッフも一新している」

「ロシアは今までもこれからも、競技におけるドーピングを撲滅すべく、戦っていく」