【11月6日 AFP】(一部更新)かつては生命が存在していた可能性もあるが、現在は寒冷で乾燥した惑星となった火星──5日に発表された研究結果によると、火星の大気減少が加速した理由に、激しい太陽活動があったことが考えらえるという。

 研究は、米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado at Boulder)のブルー ス・ジャコスキー(Bruce Jakosky)氏が率いた。同氏は、ポッドキャスト配信された米科学誌サイエンス(Science)誌とのインタビューで「太陽嵐の発生時に大気の浸食が著しく増加していることが分かった。これにより、太陽が今より若くて活動的だった数十億年前には、大気の流出速度がはるかに大きかったと考えられる」と説明した。

 数十億年前の太古の火星を温暖湿潤にしていた、保護作用のある分厚い大気について、研究チームは、これまで考えられていたよりはるかに早い時期に消失した可能性があるとみている。

 過去1年にわたり火星を周回観測している米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「メイブン(MAVEN)」から送られてくる観測データに基づく研究論文は、これまでにサイエンス誌に4件、米地球物理学連合(American Geophysical Union)の学会誌「地球物理学研究レター(Geophysical Research Letters)」に44件、それぞれ発表された。

 メイブンに搭載された観測機器は、気体の宇宙空間への流出を促しているものについて理解することを目的に、火星の上層大気中のイオンの測定および太陽風の変化を追跡記録している。

 研究チームを率いるブルース・ジャコスキー(Bruce Jakosky)氏は、ポッドキャスト配信されたサイエンス誌とのインタビューで「今週発表予定の主要な研究成果は全て、大気の流出がどのようにして起きているか、現在はどれくらいの量の流出が起きているかに関連するものだ」と語った。

 また「現在の最上層からの減少速度は比較的小さく、火星全体で恐らく毎秒100グラムほどしかないと思われるが、長期にわたると大きな減少となる可能性があることが分かってきている」としながら、「これはいわば氷山の一角にすぎず、歴史の早い段階では、減少速度がはるかに大きかったと思われる。このメカニズムは、非常に厚かった初期大気を消失させた主原因である可能性があると考えられる」と付け加えた。