ドーピングのロシア陸上選手が恐喝被害か、露報道
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【11月6日 AFP】仏ネット新聞「メディアパルト(Mediapart)」は5日、世界反ドーピング機関(WADA)の機密文書を引用し、ロシア陸上競技連盟(ARAF)の幹部と国際陸上競技連盟(IAAF)のラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)前会長の息子2人について、ドーピング違反が疑われる選手を恐喝して競技を続行させていたと報じた。
メディアパルトはこの情報について、9日に公表される予定のWADA独立委員会による報告書を閲覧して得たものと明かしている。
これに先立ちフランス警察当局は3日、ドーピング違反を隠蔽(いんぺい)する見返りに金銭を受け取った収賄容疑でIAAFのディアック前会長を捜査していた。
メディアパルトはまた、女子マラソンのトップ選手であるリリア・ショブホワ(Liliya Shobukhova)を含むロシアの陸上選手6人が、同国陸連の幹部から恐喝の対象にされていたと伝えている。
WADAの報告書によれば、IAAFの調査で証拠を提出した後に処分が軽減されたショブホワは、2012年から2014年にかけてアレクセイ・メルニコフ(Alexei Melnikov)コーチを仲介者として56万9000ドル(約6900万円)以上を手渡していたという。
同報告書ではさらに、ディアック前会長の息子2人がロンドン五輪女子1500メートルで金メダルを獲得したトルコのアスリ・チャクル・アルプテキン(Asli Cakir Alptekin)に対し、2012年11月に50万ドル(約6000万円)を求めた疑いがあると報告。アルプテキンは、この要求を拒否したとされている。
アルプテキンは、血液サンプルで異常値が見つかったとして2013年4月に8年間の出場停止処分を受け、ロンドン五輪と欧州陸上競技選手権(European Athletics Championships)の金メダルも剥奪された。
WADAの報告書ではまた、ディアック家が送金の際にはシンガポールに拠点を置く会社を利用していたことや、前会長が息子らの行為について再三にわたり忠告されながら、何もしなかったことが記されているという。
82歳のディアック前会長は、マネーロンダリング(資金洗浄)、共謀、収賄の容疑で3日に捜査を受けた。捜査当局の関係者によれば、ディアック前会長はロシアの陸上選手から金銭を受け取った疑いがあるとされている。
さらにディアック前会長の弁護士と、IAAFの元反ドーピング医師も収賄で捜査を受けている。(c)AFP