【11月4日 AFP】アシュトン・カーター(Ashton Carter)米国防長官と中国の常万全(Chang Wanquan)国防相は3日、訪問中のマレーシア首都クアラルンプール(Kuala Lumpur)で直接会談した。カーター氏は常氏に対し、論争の的となっている南シナ海(South China Sea)で米軍が今後も作戦を継続していく方針を伝えた。

 カーター氏と常氏は約40分にわたって会談した。両氏は東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟10か国に加え、米中の他ロシア、オーストラリアなどの国防相が出席して4日に開かれるASEAN拡大国防相会議のため同市を訪問している。

 米国防当局高官によるとカーター氏は、「米国は国際法で認められている場所であればどこでも飛行・航行し、作戦を実施するという方針を改めて明言し」し、「南シナ海も例外にはならないと言明した」という。

 一方、「事務的ながら誠意をもって行われた」とされるこの会談で常氏は、周辺国による領有権争いの的となっている南沙諸島(英語名:スプラトリー諸島、Spratly Islands)に中国が造成した人工島は自国領土だという従来の見解を繰り返した上で、先月27日、これら人工島の少なくとも一つの12カイリ(約22キロ)内に米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン(Lassen)」が進入したことに不快感を示した。

 南シナ海問題をめぐっては、世界有数の軍事大国同士である米中が意見対立を見せているものの、双方とも冷静さを保とうと努める様子がうかがえる。強い言葉の裏には融和的な姿勢も見え隠れし、カーター氏は来春の中国・北京(Beijing)訪問の招待を受け入れた。また両氏は、両軍間の対話が重要だという認識を示した。(c)AFP/Thomas WATKINS