【11月2日 AFP】エジプトで発生したロシア旅客機墜落の原因調査を行っている専門家は1日、同機が「空中分解」し、機体の破片が広範囲にわたり散らばったとの見解を明らかにした。

 紅海(Red Sea)に面したエジプトの観光地シャルムエルシェイク(Sharm el-Sheikh)からロシア・サンクトペテルブルク(St. Petersburg)に向かっていたロシア航空会社コガリムアビア(Kogalymavia)運航のエアバス(Airbus)A321型機は先月31日、エジプトのシナイ半島(Sinai Peninsula)で墜落。乗客乗員224人全員が死亡した。

 イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」は、同機を撃墜したと主張しているが、エジプトのアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)大統領は、墜落原因の調査結果を待つよう呼びかけている。

 ロシア通信(RIA)のカイロ(Cairo)からの報道によると、原因調査を行う国際調査チームを率いるロシアの国家間航空委員会(Interstate Aviation Committee)のビクトル・ソロチェンコ(Viktor Sorochenko)氏は、「空中分解が起き、機体の破片が広範囲に飛散した」と述べつつも、墜落原因について「結論を出すのは時期尚早だ」と語った。

 墜落現場からはブラックボックスが回収されており、エジプト政府によると、データの分析が行われている。AFP特派員によると、現場では墜落翌日の1日、黒ずんだ機体の残骸が散らばり、金属が燃えた臭いが残っていた。捜索当局によると、現場からはこれまでに168人の遺体が収容された。その中には、機体の主要部分の残骸から8キロ離れたところで見つかった少女も含まれていたという。

 シナイ半島で活動するIS系組織は犯行声明で、シリアでロシアが行う対IS空爆の報復として同機を墜落させたと主張しているが、専門家らは、この高度に達するミサイルの使用に必要な訓練された要員と装備をISが所有していないことなどから、この主張の信ぴょう性を否定している。(c)AFP/Haitham El-Tabei