【11月13日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、制圧したイラクやシリアの都市の荒廃した市街や、むごたらしい処刑動画の背景に掲げる黒旗は、近年、世界各地で繰り広げられるジハード(聖戦)を一目で想起させるシンボルとなった。

 ISは、ハリウッド(Hollywood)並みの凝ったプロパガンダ映像に加え、忘れ去られていた終末論的な預言、イスラム教のシンボルを操り、最も悪名を馳せていた頃の国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)よりもさらに強力なブランドを構築していると、専門家らは指摘する。

「一般の人々にとっては、『黒旗』を振るイスラム教徒の戦闘員は誰であろうとISIS(ISの別称)だと思える」ほど、黒旗の認知度は高まったと話すのは、「The ISIS Apocalypse(ISISの終末)」の著者、ウィリアム・マキャンツ(William McCants)氏。

「他のイスラム過激派組織と同様、ISISは、預言者ムハンマド(Muhammad)の旗に関する文献に基づいて自分たちの旗をデザインした。ただ、ISISによるこれら文献の解釈は独特だ」と、AFPの取材に語った。

 他のイスラム武装組織が長年使用している旗とは違って、ISの黒旗は、リビアやソマリア、イエメンなど他の地域の過激派の間でも人気を得ている。

 この黒旗が最初にネット上に出現したのは2007年1月。当時イラクでアルカイダと協力関係を結んでいたISの前身組織が、「一つの旗の下に支持者を集めて団結させる」ために用いた。

 ISはその後、シリアとイラクにまたがる広い地域を制圧し、2014年に「カリフ制国家」の樹立を宣言した。「(ISは)自分たちを国家として描き出そうとしている。そして国家は、国旗を持つものだ」と、マキャンツ氏は指摘する。