女性を彩る「きらめき」の影、雲母採取の児童労働 インド
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【11月2日 AFP】顔に泥がこびりつき、髪の毛は汗で固まったラリタ・クマリ(Lalita Kumari)さん(8)は、口紅やマニキュアに加えてきらめきを出すパール顔料の原料を含んだ石をたたき割っている。
光る砂の丘のくぼんだところで一休みしながら、ラリタさんはインド東部ジャルカンド(Jharkhand)州の鉱山で4歳の頃から働いていて、それ以外の生き方を知らないと語った。
ポニーテール姿のラリタさんはつるはしを置くと水ぶくれができた手を後ろに隠し、「学校に行きたいけど、家には食べ物が十分にないから私はここに来て働かないといけない」と語った。
額に大粒の汗を流し、しばしば空腹に見舞われながら、数百人の子供がラリタさんと同じように、家計を助けるため鉱物の雲母を採取している。ジャルカンド州では環境への懸念から20年前に雲母鉱山が閉鎖されたが、残された大量の捨て石はいまだに貧困にあえぐ住民らを引き付けている。
雲母は、世界的なブランドのマスカラや口紅、パウダーに光沢を加える鉱物だ。雲母は、採取した子供たちの家族が小規模な業者に売ることが多い。そこからより大きな業者へと転売されていく。だが複雑なサプライチェーンのせいで供給源を特定するのはほぼ不可能だと、活動家たちは言う。
2009年、ドイツの薬品大手メルク(Merck)は、児童労働によって採取された雲母を、ロレアル(L'Oreal)やレブロン(Revlon)などの化粧品ブランドに卸していたことを非難された。
メルクは、非難されていたことを受けて自社の顔料製品に児童労働で得られた雲母を一切使用しないようにするため、いくつかの措置を取ったとAFPに文書で回答した。しかし活動家らは、遠隔地で児童労働が行われていないか監視するのは不可能であり、雲母が児童労働で採取されていないという保証はできないと主張している。
2014年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者、インドのカイラシュ・サトヤルティ(Kailash Satyarthi)氏が創立したNGO「バチュパン・バチャオ・アンドラン(Bachpan Bachao Andolan)」のブバン・リブ(Bhuvan Ribhu)氏は、「私は、関連各社が責任を転嫁する状況になったと思っている。名乗り出て、全ての子供が学校に行くようにするのは、この地域から雲母を調達している全関係者の共同責任だ」と述べた。