【10月29日 AFP】イスラエルとパレスチナの衝突が激化する中、複数の米小売り大手がハロウィーンの子ども向け仮装グッズとしてイスラエルの軍服コスチュームや「アラブ人の鼻」を販売し、物議を醸している。人権団体からは侮辱的かつ人種差別だと非難の声が上がっている。

 米国最大の雇用者数を誇る小売り大手ウォルマート(Wal-Mart)は28日、批判が噴出してすぐに両方の商品を撤去した。競売サイトのイーベイ(eBay)はAFPに対し、鼻については出品を取りやめたことを明らかにした。ただ、米インターネット小売り大手アマゾン(Amazon)は両商品ともサイト掲載を続けており、コメント発表の予定もないとしている。

 米国では10月31日のハロウィーンを盛大に祝うのが習わしで、子どもたちが仮装して近所に菓子をもらいに行く他、大人たちも仮装パーティーを楽しむ。

 アマゾンでは、イスラエル兵士のコスチュームが29.99ドル(約3600円)で販売されており、商品評価で星二つを獲得している一方、「不愉快だ」との否定的意見が多数寄せられている。また、アラブ人の伝統的なヘッドスカーフをかぶった男性が大きな付け鼻をしている画像とともに「族長ファギンの鼻(Sheik Fagin Nose)」「ラテックス製スルタンの鼻(Sultan Nose Latex Appliance)」を販売している。

 一方、イーベイではイスラエル兵のコスチュームが、右手におもちゃの銃を握った子どもの着用画像を添えて出品されている。

 人権団体は、こうしたコスチュームは人種差別に当たるだけでなく、アラブ系米国人に対する憎悪犯罪をあおると非難している。

 イスラエルとパレスチナの紛争ではここ3週間で、パレスチナ人少なくとも60人、イスラエル人9人、アラブ系イスラエル人1人が死亡している。(c)AFP/Jennie MATTHEW