【10月27日 AFP】ペルシャ湾(Persian Gulf)では今世紀末までに、地球温暖化の影響から、人間の限界を超える極度の暑さと湿度に見舞われる可能性があるとする研究論文が、26日の英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された。

 論文によると、温室効果ガス排出量削減への対策が取られなければ、2100年までに平均10~20年に1度のペースで、健康な若者が正常な体温を維持することが不可能なほどの猛暑が発生するという。

 論文の共同執筆者で米ロサンゼルス(Los Angeles)のロヨラ・メリーマウント大学(Loyola Marymount University)のジェレミー・パル(Jeremy Pal)教授は、記者団に対し、高温と高湿度があるレベルを超えた場合、「人体は体温を自ら下げることができず、オーバーヒートに陥る」と述べた。

 限界値については、いわゆる「湿球温度」と呼ばれる指標を用いて測定される。例えば湿度50%と気温46度が組み合わさった場合には、限界値超えとなる。これよりも若干高温で湿度がより低い場合や、その逆の場合にも、同様の結果となるという。

 地球上ではこれまで、深刻な湿球温度の限界値を超えた場所はない。

 ただ、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH Zurich)大気・気象科学研究所(Institute for Atmospheric and Climate Science)の科学者、クリストフ・シャー(Christoph Schar)氏によると、イランのバンダルマズハー(Bandar Mahshahr)で今年7月31日に、この限界にかなり近づいたという。(c)AFP/Marlowe HOOD