■わずかな差でも一生では膨大

しかし、たとえわずかな賃金差でも女性にとって損失だと活動家たちはいう。「女性は人生で何十万ドルも失っている」と、NPO「女性と家族のための全米パートナーシップ(National Partnership for Women & Families)のビッキー・シャボー(Vicki Shabo)氏はいう。

 男女間格差は「たった7%、たった10%」だという人々にはいら立ちを覚えると、米国大学女性協会(American Association of University Women)の主任政策顧問のリサ・マーツ(Lisa Maatz)氏はいう。「働いて生活をやりくりしようとしている誰もにとって10%は大きな違いだ」

 この30年間で賃金格差は縮まってきたとはいえ、そのペースは極めて遅い。格差是正のための法制化を訴える民主党では、大統領選の指名候補を争うバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員が「同じ仕事をして男性が1ドル稼ぐのに対し、女性が78セントというのは不当だ」と怒っている。女性票を見据えている民主党は、連邦レベルでの差別禁止政策を強化する法案を阻止する共和党を激しく批判している。

 しかし保守派は、差別に焦点を当てれば、女性の足を引っ張っているもっと複雑な社会的要因や、数値化が難しい各個人のキャリア選択といった要因から目をそらすことになるという。ブラウ氏は、女性は競争に尻込みしがちで、結果的に高給職を避けていることを示す研究を挙げている。

 女性はまた通常、男性ほど賃金交渉に意欲的でない。ただし、これは再び差別と偏見に関する議論へ帰結する。

 オスカー女優のジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)さんも、賃金交渉の壁に直面したことを明かしている。先日、映画界における男女の賃金格差に疑問を呈したローレンスさんは、「気難しい」「わがまま」といったレッテルを貼られることを恐れて、出演料の交渉で強く主張できなかったという。ローレンスさんはインターネット上の投稿で「自分の意見を聞いてもらうために、どんな戦略を使おうか熟考する男性の下でなんて、働いたことはないと思う。だって彼らは何もしなくても聞いてもらえるから」と書いた。(c)AFP/Ivan Couronne