【10月23日 AFP】厳しい干ばつに見舞われているメキシコ南東部チアパス(Chiapas)州で、ダム貯水池の水位が低下し、49年前に水底に沈んだ16世紀の教会が姿を現した。水面に浮かんだような廃虚の幻想的な光景を間近で見ようと、ボートで訪れる観光客も多いという。

 カトリック・ドミニコ会の修道士によって16世紀に建造された使徒サンティアゴ教会(Apostle Santiago Church)は、1966年にグリハルバ(Grijalva)川に水力発電用ダムが建設された際に水没。教会のあった町ケチュラ(Quechula)には先住民族ソケ(Zoque)の人々1000~2000人が住んでいたが、みな移住し、家屋もダムによってできたネサワルコヨトル(Nezahualcoyotl)貯水池の底に消えた。

 教会は数週間前から水面に出現し、高さ約15メートルの礼拝堂の上から半分くらいまでが姿を見せている。屋根の失われた石壁の上では鳥たちが羽を休め、植物が生えつつある。

 ただ、チアパス州では18日から大雨が降っており、貯水池の水位は再び上昇しているという。(c)AFP