【10月30日 AFP】ナイトクラブやバーなど、魅惑的なナイトライフが満喫できる英ロンドン（London）に、90秒間の沈黙を保ったまま「お見合い」をする斬新なデートイベント「Shhh dating（シーッ！デート）」が登場した。

　この新たな試みが行われているのは、英ロンドン北部、流行に敏感なダルストン（Dalston）地区にあるパブ「ファーズ・スクール・オブ・ダンシング（Farr's School of Dancing）」。バーの内部では、ろうそくの明かりと気だるいエレクトロ・ジャズがロマンチックな雰囲気を演出し、出会いにうってつけの場を提供している。だが、参加者らは、向き合って座る相手と見つめ合い、目だけを使って相手を魅了しなければならない。

　この「無言デート」を考案したのは、俳優で起業家のアダム・タフラー（Adam Taffler）さん。タフラーさんは、「言葉」が人々の本当の性格を覆い隠すために用いられているとしながら、世の中はそのような言葉で溢れ返っていると話す。

　AFPの取材に対してタフラーさんは、「私たちは、自分についての考えを言葉を使って表す。私が言うところの私はこうです、とね。でもほとんどの場合、それは本当の自分について語ってはいない。ある人物の本当の姿は、その人の目をのぞき見ることで分かる。目は絶対にうそをつかないからね」とコメントした。

「Shhh dating」の参加者の一人でグラフィックデザイナーのジェイソン・リベイロ（Jason Ribeiro）さん（33）は、「その場を取り繕うにしても、何か別のことをするにしても、無言でいるということにすごく興味が湧いた」と話した。

　取材当日のイベントには男女15人ずつ、計30人が参加していた。ほとんどが30代だという。時計が午後7時を回ると、タフラーさんは「話してはダメ」と厳しく念を押しつつ、イベントの開始を告げた。

　参加者たちは、まず握手で堅苦しい雰囲気を和らげるよう促された後、親睦を図るゲームに取り掛かった。