【10月22日 AFP】面積が欧州の1か国ほどもある広大な牧場を持つオーストラリアの牧畜業者たちが、宇宙から牛や牧草地の管理ができるようになる「画期的な」技術が開発された。

 官民の出資によって開発されたこの最新技術は、頭上を通過する衛星に搭載した装置を経由して家畜の体重を毎日、計量・記録し、牧草の状態を観測する。豪州の牧場は面積があまりに広いうえ、遠隔地や厳しい自然環境にあることから、そうした管理はこれまで不可能だった。

 例えば、北部特別地域(準州、Northern Territory)にあるニューカッスル・ウオーターズ(Newcastle Waters)牧場の面積は1万平方キロメートルにもおよび、飼育する牛の数は5万5000頭にものぼる。

 ある官民出資の調査団体によれば、オーストラリアの牧場では平均で年1.5回しか牛の体重測定を行っていない。定期的に点検できる牧草面積もわずか2%だという。

 新技術が着目したのは、牧場が半乾燥地域にあることだ。牧場には水がたまった場所はほとんどなく、家畜の牛たちは毎日、水飲み場を利用する。新技術では、水飲み場の地面にソーラーパネルによる太陽光発電を利用した体重計測装置を埋め込んだ。電子タグを取り付けられた牛が、水を飲もうとやってきて装置の上にのり、体重が測れるという仕組みだ。計測された記録は衛星に搭載された管理用コンピューターに送られる。

 さらに衛星を通じて牧草地内を250メートル単位で観測できるようになり、家畜業者は牛たちを移動させる草場の特定が容易になるという。(c)AFP