【10月22日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が、パレスチナ人指導者がナチス・ドイツ(Nazi)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)にホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を進言したと示唆し、誤った歴史認識だとして広く物議を醸している。

 ネタニヤフ首相は20日の世界シオニスト会議(World Zionist Congress)で行った演説で、ヒトラーが1941年にエルサレム(Jerusalem)大ムフティー(イスラム教指導者)、ハッジ・アミン・フサイニ(Haj Amin al-Husseini)師と面会するまでは、ユダヤ人根絶を計画していなかったと示唆した。

「ヒトラーは当時、ユダヤ人を根絶するのではなく、追放したがっていた」

「フサイニ師がヒトラーと面会し、『ユダヤ人を追放したら、ここにやって来る』と伝えた。『では彼らをどうしたらいいのか』と聞かれると、『焼け』と答えた」

 この発言は広く批判を呼び、パレスチナ人指導者やイスラエル野党が、ネタニヤフ首相は歴史を歪曲(わいきょく)していると非難。歴史家らも事実と相反する内容だと指摘し、ネット上では同首相をあざける声が相次いだ。

 ネタニヤフ首相は21日、自分の発言がヒトラーを免罪するものだという非難は「ばかげている」と述べたが、ナチスに同調していたフサイニ師が影響を及ぼしたとの主張は固守した。

「ヒトラーは600万人の根絶という最終的解決に責任がある。この決定をしたのは彼だった」

「(しかし)欧州のユダヤ人を根絶するようヒトラーや、(ナチス・ドイツ外相のヨアヒム・フォン・)リッベントロップ(Joachim von Ribbentrop)、(親衛隊長官のハインリッヒ・)ヒムラー(Heinrich Himmler)に進言した同師の役割を無視することも同じようにばかげている」

(c)AFP/Delphine Matthieussent