【10月22日 AFP】中国の公務員採用試験で、募集人員1人の内モンゴル自治区（Inner Mongolia Autonomous Region）地震局の求人に1000人以上が応募した。国営の新華社（Xinhua）通信が21日に報じた。今年の試験で2番目に競争率の高いポストだという。

　中国では毎年、100万人以上が公務員採用試験を受ける。中国の公務員は薄給の場合もあるが、終身雇用が保証され、さまざまな手当が付く。また、生活費の多くを「経費」として請求できるうえ、時には住宅も提供されることから、割れない鉄で作った碗のように安定しているという意味で「鉄飯碗（鉄の茶碗）」などと呼ばれる。さらに、汚職がまん延する中、不正蓄財の機会も見込める。

　新華社によると、今年最も倍率が高かったのは人事社会保障省。第3位は香港（Hong Kong）と隣接する広東（Guangdong）省の税関当局だった。

　税関当局者は輸入品への関税をめぐって幅広い裁量権を持つ。しかし、内モンゴル自治区地震局が、税関当局と同等の好条件を提供しているとは思えない。

■内モンゴル地震局が人気の理由

　匿名でAFPの取材に応じた地震局の職員によると、同局の公務員の月給はおよそ3000元（約5万7000円）。「技術管理部の求人なので、地震学に関する特別な知識は必要ない」という。

　内モンゴル自治区地震局の人気が高かった理由は、勤務地が省都フフホト（Hohhot）で、へき地ではないという点もあるかもしれない。また、マイクロブログ「新浪微博（Sina Weibo）」には「応募できたのはこの1件だけだった」との投稿があることから、応募要件が少なかったことも要因の一つと考えられる。

　ちなみに、ある微博ユーザーは冗談半分にこのようにつぶやいている。「（応募の理由は）内モンゴルでは地震が起きないから」(c)AFP