【10月19日 AFP】インド洋にあるイスラム教国の島しょ国モルディブで、姦通罪で有罪とされた女性に宣告された石打ちによる死刑が、最高裁で取り消された。

 19日の現地メディアによると、死刑を宣告されていたのは、モルディブの首都マレ(Male)から南へ約400キロ離れた赤道直下の小島、ゲマナフシ(Gemanafushi)島に住む5人の子を持つ女性。最高裁は18日夜、イスラム法を含む法的手続きが考慮されていなかったとして、判決を無効とした。

 新婚旅行先として世界的に人気の高いモルディブでは、イスラム法(シャリーア)と英国の判例法の要素が混在しており、婚外性交渉は違法だが、旅行者には適用されない。またモルディブ人に対しても、姦通罪によってむち打ちの刑が科されることはよくあるが、石打ちによる死刑は前代未聞の厳罰だった。

 一方、国連人権理事会(UNHRC)はこれまでモルディブ政府に対し繰り返し、婚外性交渉で有罪となった女性に対する石打ち刑を廃止するよう要請してきた。

 モルディブでは2013年に、実の父親に繰り返し強姦された15歳の少女が、婚前交渉の罪でむち打ち100回の刑を言い渡され、国際的な非難が巻き起こった後、政府が介入し判決が覆されたことがある。(c)AFP