【10月17日 AFP】イスラエル人2人を刺したとして撃たれ、流血しながら地面に倒れるパレスチナ人少年と、「死ね」とわめく男性の声──その様子が収められた動画に写っている13歳の少年について、パレスチナ側は死亡したと主張し、イスラエル側は病院で治療中だという写真を発表した。パレスチナとイスラエルの衝突は「プロパガンダ戦争」としてインターネット上でも激化している。

 ここ数週間、殺傷事件や暴力的な抗議行動から衝突などが続き、全面的な暴動へと発展する事態が懸念される中、パレスチナ人による襲撃や、イスラエルの治安部隊による発砲の映像はその発生から数分以内にインターネット上に投稿されることが多い。

 アフマド・マナスラ(Ahmad Manasra)君(13)の動画は、パレスチナ、イスラエルの双方が素早くインターネット上に投稿した。双方はそれぞれの主張を裏付ける証拠としてこの動画を利用し、解釈した。

 パレスチナ人の多くにとってこの動画は、イスラエル治安部隊の残虐さの証しだ。しかし、イスラエル人の多くにとっては、13歳の子どもさえもが加わるパレスチナ人による脅威の証しだ。

 この動画に対しては扇動的な言葉があふれ、さらにパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長が演説でこの事件に触れると、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が痛烈にこれを批判した。

 警察によれば、アフマド君といとこのハッサン君(15)は12日に、東エルサレム(Jerusalem)にあるユダヤ人入植地で男性1人を刺した後、自転車に乗っていたユダヤ人の少年(13)を襲って重傷を負わせたという。ハッサン君は逃げる途中で車にひかれて死亡し、アフマド君はナイフで治安部隊に向かおうとして撃たれたと発表されている。

 動画はこの瞬間から、始まっているとみられる。アフマド君は血を流しながら、地面に横たわっており、男性が死ねと叫ぶ声が入っている。動画が拡散し、パレスチナ側からアフマド君は何の罪も犯していないのではないかと疑いの声が上がると、警察はアフマド君とハッサン君がナイフを持っているとされる監視カメラの映像を公開した。(c)AFP/Joe Dyke