マレー機「ミサイルで撃墜」と結論 実行犯巡り責任かぶせ合い再燃
このニュースをシェア
【10月14日 AFP】昨年7月にウクライナで発生し乗客乗員298人が死亡したマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH17便撃墜事件で、オランダ安全委員会(OVV)主導の国際調査チームは13日、同機はロシア製の地対空ミサイル「ブク(Buk)」によって撃ち落とされたと結論付ける最終報告書を発表した。しかし大惨事から1年3か月が経過した今も、ロシアと欧米諸国は依然事件の責任を押し付け合っている。
報告書は、ミサイルの発射地点として、ウクライナ東部320平方キロの地域を特定。この場所がウクライナ政府軍と戦っていた親ロシア派武装勢力の支配域内にあったかどうかについては明確な記述がないが、オランダ安全委員会のチブ・ヤウストラ(Tjibbe Joustra)委員長は後に、それを示唆する発言をしたもようだ。
ヤウストラ委員長は、議員らに対する説明の後、オランダメディアに対し「国境が大きく変動する場所ではあるが、親露派が掌握している領内だ」と語った。
最終報告書では、このロシア製ミサイルを発射した犯人の特定には踏み込まなかった。ロシアとウクライナ、そして欧米諸国は報告書の発表後すぐに、悲劇の責任を他国に押し付けようとする動きに出た。
ウクライナのアルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)首相は今回の報告を受け、同機を撃墜したミサイルは「訓練を受けたロシアの軍人」しか扱えなかったはずだと指摘し、実行犯はロシア国家保安機関の下で任務に当たる軍人だったとの見解を示した。
一方、以前からミサイルを発射したのは親露派だと非難してきていた米ホワイトハウス(White House)は、「認識は変わっていない。MH17便はウクライナ東部の分離派が支配する領域から地対空ミサイルによって撃墜された」と発表した。
英国のマイケル・ファロン(Michael Fallon)国防相はAFPに対し、報告書は「真実に一歩近付く」ものであり、「あの非道行為以降、ロシアが広めようとしている陰謀論を完璧に打破する」内容だという考えを示した。
一方のロシアは報告書の内容に反発。オランダで行われた調査の目的について「深刻な疑念」を抱いており、これは単に「以前に持ち出されていた疑惑を正当化」するものにすぎないと指摘した。(c)AFP