インド「殺人道路」の村、働き盛りの男性は1人だけに
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【10月12日 AFP】(写真追加)開発途上のインドでは、ところどころに深い穴が開いた危険な道路が日常生活の一部となっている。南部テランガナ(Telangana)州のペダクンタ(Peddakunta)村を蛇行するように通る幹線道路は、横断者の死亡事故が多発する危険な道路として特に悪名をはせている。
国道44号の迂回(うかい)路となっている片側2車線のバイパス道路が村の居住地区と役場のある中心地区とを分断しており、この道を横切ろうとした数十人が死亡している。
2006年にこの道路が開通して以来、ペダクンタは「ハイウエー未亡人の村」と呼ばれるようになった。35世帯のうち、これまでに25人ほどの男性が道を横断しようとして交通事故に遭い死亡。働き盛りの成人男性は1人しか残っておらず、女性と子供、高齢者ばかりの村になってしまった。
死亡した夫が写った色あせた写真を手にした女性(23)は「夫はあのバイパス道路を渡ろうとして交通事故で死にました。私の兄弟と父親もです。うちの家族に私たちの面倒をみてくれる男性はいなくなりました」とAFP記者に語った。
別の女性も、問題の道路に横たわる夫の遺体が写ったモノクロ写真を見せてくれた。遺体は左脚が押しつぶされていた。
住民たちは、役場に年金を受け取りに行く時や仕事を求めて他の村を訪れる際に4車線のバイパス道路を安全に渡れるよう、歩道橋か地下道の設置を求めてきた。だが要求は無視されたままだという。
交通事故で夫を失った女性(38)は「誰も私たちを助けてくれない。多くの人たちがやってくるけれど、写真やビデオを撮っただけで帰ってしまう」と話した。3人の子を持つこの女性は、土のかまどで料理をしながら「この家にはガスストーブもトイレもない。援助してくれる人は誰もいない」と嘆いた。
世界保健機関(World Health Organization、WHO)によれば、インドの交通死亡事故は世界最悪の水準にあり、毎年23万人以上が死亡している。(c)AFP