【10月9日 AFP】インド政府は9日、サウジアラビアで家政婦として働いているインド人女性(55)が、労働条件について抗議したため雇用主に手を切り落とされたとして、サウジアラビア政府に正式に抗議したことを明らかにした。

 インド外務省によると女性は現在、サウジアラビアの首都リヤド(Riyadh)の病院で治療を受けている。インドのスシュマ・スワラジ(Sushma Swaraj)外相はマイクロブログのツイッター(Twitter)で「インド人女性の手を切り落とす──インド人女性がサウジアラビアでこのような残忍な方法で扱われたことについて非常に動揺している」と述べ、「容認できない。サウジアラビア政府にこの問題を提起した」と明らかにした。

 インドの外務省報道官は、リヤド駐在のインド外交官がサウジアラビア外務省に正式に抗議したことを明らかにした。

 被害女性の家族によると女性は、インド南部タミルナド(Tamil Nadu)州の村出身で、3か月前にサウジアラビアで家政婦として働くようになって以降、度重なる虐待を受けていたという。

 女性の姉妹の1人はインドPTI通信に対し「嫌がらせと虐待から逃れようとしたところ、雇用主の女性に右手を切り落とされた」と語った。

 インドでは複数のメディアが病院のベッドに横たわる被害女性の姿を放送した。外務省報道官はAFPの取材に、女性は現在も病院で治療を受けており、女性が帰国できるよう取り組んでいると語った。

 サウジアラビアなどの湾岸諸国では、数十万人のインド人が家庭内労働者として働いているが、雇用主からの扱いに対する抗議がインドでニュースになることが多い。

 先月には、インド人男性労働者がサウジアラビア人雇用主に殴打される動画がインターネット上で拡散し、ソーシャルメディアで抗議が広がった他、自宅でネパール人メイド2人を監禁、強姦(ごうかん)した容疑がかけられた在印サウジアラビア大使館の一等書記官が外交特権で出国する出来事があり、怒りの声が広がっていた。(c)AFP