【10月9日 AFP】メキシコの首都メキシコ市（Mexico City）の公園で、飼い主に連れられて園内を散歩した犬が相次いで急死し、毒物を使う「連続殺犬鬼」が野放しになっているのではないかとの不安が広がっている。

　ペット犬の急死が多発しているのは、市内でもおしゃれスポットとして人気のコンデサ（Condesa）地区にあるメキシコ公園（Parque Mexico）。界隈は駐在員や芸術家、政治家が多く住み、夜のにぎわいでも知られている。1920年代に設立されたアールデコ調の公園はペットの遊び場として愛犬家たちが集う場所で、ペットトリミングの移動サロンも複数営業している。

　警察は、普段ペット連れでにぎわう一画を封鎖して捜査を行っている。

　市内の動物病院によると、毒物を盛られたとみられる犬は11匹。ただ、動物愛護団体「Frecda」の発表では、ここ2週間で18匹の犬が死んだとされる。

　愛犬を失った傷心の飼い主らの苦情申し立てとソーシャルメディアで渦巻く市民の怒りの声を受け、市の検察当局は捜査を開始。犬たちの検死と毒物検査を命じた。

　メキシコ公園では、毒物が園内に残されている可能性があるとして高圧放水による洗浄作業が行われた。

　犠牲になった犬の多くが運ばれた動物病院の獣医師によれば、犬たちはフッ化亜鉛が混入された餌を食べたとみられる。死んだ犬は全て同じ症状を示しており、メキシコ公園内か近隣の道路を散歩した約20分後に嘔吐（おうと）し始め、けいれんを起こし、絶息したという。

　メキシコ公園で30年にわたり自作の絵画を売っているという男性は、世の中には毒入りの餌を園内に置いていくような「異常な人たち」もいるが「ペット犬を見せびらかしたり、ふんの始末をしなかったりする飼い主たちは嫌われている」と話した。

　一方、ソーシャルメディア上では、麻薬抗争で数十万人もの一般市民が犠牲となりながら多くの事件が未解決なメキシコの現状と比較し、犬が死んだ事件の捜査に当局が乗り出したことに批判的な意見も出ている。(c)AFP/Jennifer GONZALEZ COVARRUBIAS