【10月6日 AFP】二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭燃料を長年重視してきた世界第3のCO2排出国インドが、国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)第21回締約国会議(COP21)を前に圧力を受ける中、太陽光発電能力の拡大を打ち出した。

 ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相率いるインド人民党(BJP)政権は、大きな打撃となっている停電を減らし、現在電力を利用できずに暮らしている3億人に電気を届けるために、太陽光発電の出力目標を5倍に引き上げる方針を掲げている。

 インド経済が急成長する中、インド政府はエネルギー需要を満たすために、化石燃料への依存度低減の呼びかけも無視して石炭生産を増強してきた。インドは現在、電力の60%を石炭火力発電所に頼っており、今後、太陽光発電能力を引き上げると同時に、2020年までに石炭生産を倍増し10億トンとする方針も明らかにしている。

 再生可能エネルギーへのモディ首相の野心を支えているのは、一年を通じてよく日があたる平原で、安価な労働力が利用できる北西部の砂漠地帯、ラジャスタン(Rajasthan)州だ。地元企業のある会長は「太陽光発電は着実な収益をもたらす。ここでは原材料は太陽だ」という。

 太陽光パネルの生産コストが下がったこと、消費者の需要が増えたことで国外の企業もインドに目を向けており、日本のソフトバンク(SoftBank)、米太陽光発電サンエジソン(SunEdison)、中国太陽光発電トリナ・ソーラー(Trina Solar)は、出資を発表している。

 インドの太陽光発電量は現在2万メガワットだが、2020年までにこれを10万メガワットとする政府目標を達成するには、さらにずっと多くの資金が必要だ。自らの地元であるグジャラート(Gujarat)州に太陽光発電所を創設するなどグリーンエネルギーに熱心なモディ首相は、1000億ドル(約12兆円)の投資を呼び掛け、関心をもつ企業の円滑な参入、減税措置などの奨励策を提供することを約束した。(c)AFP/Annie BANERJI