【9月29日AFP】欧州宇宙機関(ESA)の無人探査機「ロゼッタ(Rosetta)」が周回観測中の67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P/Churyumov-Gerasimenko)の「ラバー・ダック(ゴム製のアヒル)」のような特徴的な形は、数十億年前に2つの天体が低速度で衝突した後に結合した結果であるとの研究論文が28日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は昨年、同探査機のカメラで初めて捉えられ、その二つの「ローブ(突起物)」がよじれたような形に科学者らは頭を悩ませてきた。

「頭」と「体」を中央の「首」がつないでいるようなこの形は、衝突に起因するものなのか、あるいは浸食の過程で形成されたものなのか。

 今回、研究を行った国際チームは、この謎を解き明かすことに成功したと述べ、「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、二つの別個の天体からできたもの」と発表した。

■タマネギのような層に相違

 研究チームは、太陽系の初期段階に、完全に形成されたキロメートル規模の二つの小型彗星の間で、低速度の穏やかな衝突が発生したとの結論に達し、その証拠として、二つのローブに見られるタマネギのように重なる層の間に、相違点が見つかったと説明している。

 ロゼッタに搭載された高性能画像システムを用いて計測したところ、大きい方のローブは、厚さ最大650メートルある複数の層から形成されており、小さい方のローブにある層とは「明らかに独立している」ことが分かったという。

 ただ、多くの類似点もあり、それらは二つの小型彗星が完全に別個に形成された後、衝突して結合したことを示唆しているという。

 研究チームのマテオ・マッシローニ(Matteo Massironi)氏は28日、インターネットで配信された記者会見で、「二つの天体が低速度で衝突、結合したのでなければ、こうした(タマネギのような)秩序だった構造を保持してはいないだろう」と述べ、「両者はおそらく同じ場所では形成されていないが、同じ方法で形成された」と付け加えた。(c)AFP/Mariette LE ROUX