国連の昼食会合で「ごみ」提供、食べものの無駄訴え
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【9月28日 AFP】高級料理に慣れている世界の指導者たちは27日、国連本部での昼食で驚くべき料理を提供された──ごみだ。世界の首脳らはこの日、仏パリ(Paris)で12月に開催が予定されている国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate Change、UNFCCC)の第21回締約国会議(COP21)に向けた話し合いを行っていた。
昼食を担当した料理人たちは、現代人の食生活にみられる多大なる無駄が、世界的な気候変動に影響を与えていることの再確認につながることを願い、本来なら廃棄処分されるはずだった材料のみを使って料理を完成させた。
国連本部で提供されたのは、野菜類の絞りかすを原料とするベジタブルバーガーなど。果汁などを抽出する調理法では通常、果肉の大部分が無駄になってしまう。
バーガーに添えられたのは、でんぷん状のトウモロコシから作られた「コーンフライ」だ。米国には、計約3600万ヘクタールのトウモロコシ畑があり、収穫物の大半は、動物の飼料やバイオ燃料として使用されている。
このメニューは、米ニューヨーク(New York)のレストラン「Blue Hill」の共同経営者で、著名な料理人のダン・バーバー(Dan Barber)氏が、米ホワイトハウス(White House)の元アシスタントシェフ、サム・カス(Sam Kass)氏とともに考案した。
バーバー氏はAFPに対し、「典型的なアメリカ料理だが考え方を変えてみた。ビーフではなく、牛の餌となるトウモロコシを食べるんだ」と述べ、「通常なら捨ててしまうものから、本当においしいものを作り出すことへの挑戦」と語っている。
国連の統計によると、世界の農業用地約28%で生産されている農産物は、活用されず、単に無駄になっているという。この損失は、気候変動の要因となる炭素約33億トンの排出に相当し、排出量としては、国家として最大の中国と米国に続くものだ。
バーバー氏は、今回の昼食会のようなイベントを通じて、食文化が徐々に変わっていくことを期待しているとしながら「長期的な目標は、残飯から食事を作らないようにする(作ることができなくなる)ことだ」とコメントしている。(c)AFP/ Shaun TANDON