【9月27日 AFP】世界最高峰エベレスト(Mount Everest、8848メートル)への単独・無酸素登頂を目指していた日本人登山家の栗城史多(Nobokazu Kuriki)さん(33)が27日、登頂を断念したことを明らかにした。

 エベレストでは、今年4月の地震の際に起きた雪崩により18人が死亡、数百人の登山者が下山を余儀なくされた。それ以降、初の登頂を目指す意向を表明し、栗城さんは今回、5度目の挑戦に臨んでいた。2012年のエベレスト挑戦の際には重度の凍傷で手の指9本を失った。

 栗城さんは27日早朝、自身のブログに「下山を決断しました」と投稿。「全力を尽くしましたが、ラッセル(深い雪をかきわけて進むこと)で長い時間が掛かり、このまま進むと生きて戻ることができないと判断して、悔しいですが下山を決めて最終キャンプまで戻ってきました」と報告し、「皆さんからの応援に、本当に心から感謝です」と述べた。

 栗城さんは26日夜、難度が高く空気が薄いことで悪名高い高度8000メートル超の最終区間「死のゾーン」に向かって登る予定だった。

 エベレストでは、昨年にも多くのネパール人ガイドが死亡する雪崩が発生した影響で登山が中止されており、春・夏季登山の山頂到達は2年連続で事実上ゼロだった。(c)AFP