【9月25日 AFP】サウジアラビア西部にあるイスラム教の聖地メッカ(Mecca)近郊で24日に発生し、大巡礼「ハッジ(Hajj)」で過去25年に起きたものとしては最多の717人が死亡した圧死事故を受け、安全対策に数十億ドルを投じたのにもかかわらず事故を防げなかった同国当局の対応力に対する疑問の声が上がっている。

 現場となったメッカ近郊のミナ(Mina)では、事故が起きる前から、巡礼者らは不満をもらしていた。事故当時、現場にいたスーダン人のある男性巡礼者は、今回の大巡礼の運営体制は今までに自分が参加した4回の中で最もひどかったと語った。

 男性は、「人々は事故前からすでに脱水状態に陥ったり、失神したりしていた」「人々はあちこちで互いに倒れ掛かっていた」と語った。また男性のサウジアラビア人の同行者は、「何かが起こりそうだ」と心配を口にしていたという。

 サウジアラビアの内務省は、ハッジの安全確保、交通と群衆の整理に警官10万人を配備したと発表していた。警官らは、約200万人の人々が一挙に集まる地域の警護を任されていた。

 しかし、ロンドン(London)から取材に応じた、聖地の再開発に批判的なイルファン・アラウィ(Irfan al-Alawi)氏は、こうした警官らは言語能力に欠け、しっかりした訓練もされていないと批判。「彼らは大量の人々をさばく方法を知らない」と語った。