絶滅危惧種スマトラサイ、第2子を妊娠 インドネシア
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【9月23日 AFP】インドネシアの保護区で飼育されている希少種スマトラサイが第2子を妊娠しており、2016年5月に出産する見込みであることが22日、分かった。妊娠について発表した保護団体によると、種の存続に期待をもたらす朗報だという。
母親サイの名前はラトゥ(Ratu)。10年前に熱帯雨林から、同国ウェイカンバス国立公園(Way Kambas National Park)のスマトラサイ保護区に迷い込んできたサイだ。
国際サイ財団(International Rhino Foundation)のスージー・エリス(Susie Ellis)理事長によると、ラトゥは、同公園で飼育されている雄のアンダラス(Andalas)と交尾した後、1月に妊娠したという。
スマトラサイは現存するサイ種の中で最も小型だが、妊娠期間は約16か月と非常に長い。
エリス理事長は、AFPの取材に「妊娠初期にはいろいろとうまくいかなくなる恐れもあるため、繁殖成功の確信を得てから発表したいと考えていた」と語った。
ラトゥの妊娠は「世界サイの日(World Rhino Day)」に合わせて発表された。現存する5種のサイへの関心を高めることが狙いという。
スマトラサイは、アジアに生息する唯一の角を2本持つサイ種で、赤茶色から黒色をした羊毛のような体毛で覆われている。
サイのなかでも、特にジャワサイは最も希少とみなされているが、スマトラサイも密猟による脅威の増大にさらされている上、貴重な森林生息地を次々に奪われているのが現状だ。
スマトラサイの生息数は、世界全体で約100頭ほどと考えられている。そのため今回のラトゥの妊娠は、サイを絶滅から救う取り組みを行っている各保護団体にとっては、これ以上ないほどの朗報となっている。
「サイが1頭増えるのは、全体としては1%の増加にすぎない。数字としては多くはないが、増加傾向であることは確かだ」とエリス理事長はコメントしている。