【9月18日 AFP】排ガス規制の強化に直面し、欧州の自動車メーカー各社はハイブリッド車(HV)に本腰を入れ始めた。だが、18年前にハイブリッド技術を市販車に搭載し普及させたトヨタ自動車(Toyota Motor)が立ちはだかっており、苦戦が予想される。

 1997年に初の量産HV「プリウス(Prius)」を発表したトヨタは、今週ドイツ・フランクフルト(Frankfurt)で開幕した第66回フランクフルト国際自動車ショー(IAAInternationale Automobil-Ausstellung)で、4代目となる最新モデルを欧州初公開する。

 約20年前、ガソリンエンジンとバッテリー駆動を組み合わせた複雑な技術で走る車が、消費者から大きな人気を集めると予想した人はほとんどいなかった。

 しかし、今やHVは環境責任を象徴する存在となった。トヨタのライバルである本田技研工業(ホンダ、Honda Motor)や日産自動車(Nissan Motor)、米ゼネラル・モーターズ(General MotorsGM)、米フォード(Ford Motor)も相次いで参入している。

 ただ、既に800万台以上のHVを販売しているトヨタのリードは大きい。同社のディディエ・ルロワ(Didier Leroy)副社長はAFPの取材に、2020年までに欧州での販売を倍増し、40万台を売り上げたいと語った。

■ドイツ各社も参入

 自動車保険を提供する仏セテレム(Cetelem)のフラビアン・ヌビ(Flavien Neuvy)氏は、ガソリンエンジンを併用できるHVは燃料切れで立ち往生する心配が少ないため、電気自動車(EV)よりも消費者の信頼を得ていると指摘。今後、欧州でのHV販売は10%伸びる可能性があるとの見方を示した。

 欧州連合(EU)が9月1日に施行した最新の排出ガス規制「ユーロ6(Euro 6)」により、EU圏内ではHVの魅力が増す反面、ディーゼル車のコストは増加する見通しだ。

 さらに、2020年までに自動車メーカーは、二酸化炭素(CO2)排出量を走行距離1キロメートル当たり平均95グラムに削減するというEU目標値を満たす必要に迫られている。この基準を満たした車種は、環境に優しい車としてより多くの助成が得られる仕組みだ。

 仏信用保険会社ユーラーヘルメス(Euler Hermes)によれば、フランスにおける車のCO2排出量が2014年に1キロあたり平均112グラムだったのに対し、ドイツは同130グラムで大きく基準を上回っており、このため独自動車業界は「ハイブリッド車と電気自動車の技術に大規模な投資を行っている」という。フランクフルト国際自動車ショーでは、ドイツ製HVが勢ぞろいする。(c)AFP/Tangi QUEMENER