難民に紛れ過激派潜入?高まる懸念、専門家は否定
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【9月18日 AFP】欧州では、過激派戦闘員が難民を装って潜入している恐れがあるとの懸念が高まっている。だが専門家らは、過激派には欧州に忍び込むために沈没しやすいゴムボートにわざわざ乗る必要などないと指摘している。
欧州諸国はここ数週間にわたり、命懸けで大挙して流入する移民らに紛れ、血に飢えた過激派戦闘員が欧州に向かっている恐れがあるとして警鐘を鳴らしている。今週には、ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王さえもが「侵入の恐れ」があると注意を喚起した。
専門家らは、こうした恐れが現実となる可能性は認めつつも、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」のような組織は、欧州に侵入するためのより高度な手段を持っていると指摘する。
IHSジェーンズ・テロリズム&インサージェンシー・センター(IHS Jane's Terrorism and Insurgency Centre)のマシュー・ヘンマン(Matthew Henman)氏は、「ある意味、まっとうな懸念だ。(だが)覚えておくべき重要な点は、ISには欧州諸国出身で有効なパスポートを持った戦闘員が大勢いて、彼らは通常の方法で(欧州に)戻ってくることもできるということだ」と説明した。
また、匿名で取材に応じたフランスの情報機関のある高官によれば、「現段階では、過激派戦闘員が難民に紛れている兆候はない」という。
これまでにISや国際テロ組織「アルカイダ(Al-Qaeda)」を名乗って欧州で攻撃を行った戦闘員の多くは、欧州連合(EU)諸国のパスポートを所持している。2014年5月、ベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)のユダヤ博物館で銃撃事件を起こしたフランス国籍のメディ・ネムシュ(Mehdi Nemmouche)容疑者もその一人だ。
IHSジェーンズのヘンマン氏は「シリアやイラクの主要なイスラム過激派組織はすべて、現地での戦闘に注力し、少なくとも表向きには、人員を送り返す代わりに、イラクやシリアに渡航できずEU域内を拠点に活動する支持者らに対して、自分たちに代わって自国内で攻撃を仕掛けるよう呼び掛けている」と説明した。
仏情報機関、対外治安総局(DGSE)のアラン・シュエ(Alain Chouet)元情報部長は、過激派戦闘員が難民に紛れている可能性について、「理屈に合わない。ばかげている」と一蹴。「運営上の側面からみて、組織がそのようなリスクを負うことなど意味がない」とAFPに語った。
「ISが形勢不利になり国際的なテロ攻撃をたくらんでいるとしたら、難民に紛れさせてまで歩兵を送ることはしないだろう。到着までに1か月は要するし、水死して終わってしまう可能性は五分五分だ」