【9月18日 AFP】エジプト西部の砂漠地帯で同国軍による空爆を生き延びたメキシコ人観光客の女性が、3時間にわたり続いた恐怖の爆撃の様子を語った。死亡した夫が残した最後の言葉は「愛してる」だったという。

 スーザン・カルデロン(Susan Calderon)さんの劇的な証言は、メキシコの主要日刊紙エルウニベルサル(El Universal)が17日に掲載した。カルデロンさんはこの日、メキシコ外相の付き添いのもと、他の5人の生存者と共に政府特別機で帰国の途に就いた。

 13日に起きた事件について、生存者らはメキシコ外交官らに対し、航空機やヘリコプターから攻撃されたと証言。メキシコのエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領はこれを強く非難し、迅速な捜査を要求している。

 両腕を負傷したカルデロンさんは「(戦闘機は)繰り返しやってきて、残忍さを感じた。爆撃は5回くらいで、すべて空爆だった。3時間くらい続いた」と語った。

 この空爆により、カルデロンさんの夫のルイス・バラハス(Luis Barajas)さんを含むメキシコ人観光客8人と、エジプト人ガイド4人が死亡した。

「隠れるところも、逃げるところもどこにもなかった…ロケットだったのか、爆弾だったのかは分からない」とカルデロンさん。攻撃を受けた時、一行は昼食休憩中で、カルデロンさんは日焼け止めを夫に塗っていたところだった。

 救助隊が到着したとき、夫はまだ生きていたという。「病院に搬送するために担架に乗せられたとき、夫を見た。愛してる、と私に言ったのが聞こえた。私も愛してると言ったけど、それっきり夫の言葉は聞こえなくなった」と説明。「私たちの人生最高の旅行になるはずだったのに」と語った。

 結婚して20年の2人は、メキシコ西部グアダラハラ(Guadalajara)で医療機器ビジネスを営んでいた。子どもはいなかった。(c)AFP