「移民」か「難民」か、呼び方めぐる悩ましい論争
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【9月15日 AFP】彼らは「移民」なのか「難民」なのか、「密航者」なのか「不法滞在者」なのか。地球上を移動している膨大な数の人々をどう呼ぶべきかという問いは、各国の政府やメディアにとって厄介で政治色の濃い問題だ。
今年に入り、こうした人々の移動がニュースにならなかった日はほとんどない。地中海(Mediterranean)での数千人の死、中東からの大量流入に圧倒されるギリシャの島の当局、英国に不法入国しようと英仏海峡トンネル(Channel Tunnel)に殺到する記録的な数の人たち……。しかしこの現象をどう言い表すかというのは微妙な問題だ。
英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は7月、英仏海峡を越える移民たちを、虫の群れを指すときなどに使われる「スウォーム(swarm)」という単語で表現し苦境に陥った。野党側は「彼らは虫ではない」と糾弾した。
イタリアの政党で移民排斥を掲げている北部同盟(Northern League)のマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)書記長は「密航者」という響きの悪い呼び方を好み、ポーランドの国営ポーランド通信(PAP)は、どん底にいる人々を犯罪者扱いするようだとして多くの報道機関が使用を禁止している「不法移民」という言葉をよく使っている。
適切な言葉を選ぶ作業は言語学的、倫理的な地雷原になりうる。中東の衛星テレビ局アルジャジーラ(Al-Jazeera)は8月下旬、全員を「難民」と表現する方針を示した。同局のオンライン編集者バリー・マローン(Barry Malone)氏は「地中海で起きている恐怖を表現する上で『移民』という包括的な用語はもはや適切ではない。この言葉は辞書の定義から離れ、人間性を奪い距離を置くための道具になってしまったからだ」と記した。