恐怖と無知があおる東欧の反難民感情
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【9月11日 AFP】欧州連合(EU)が新たな難民割り当てについて合意を目指す中、東欧では、恐怖と無知、さらにはイスラム嫌悪が強力に組み合わさり、難民受け入れへの反対が広がっている。
スロバキア南西部、ハンガリーとの国境沿いにあるガブチコボ(Gabcikovo)村では、約500人の到着を前に張り詰めた空気が漂っている。この人たちは隣国オーストリアで難民申請をした人々。オーストリア・ウィーン(Vienna)は記録的な人数となった移民への対応に苦慮しているため、問題を緩和するためしばらくガブチコボに滞在することになった。
ガブチコボ村では先月、住民5400人のほぼ全員が一時的な難民キャンプの設置に反対票を投じた。地元レストランの店主はAFPに「誰が来るかわからない」と語った。「私たちはテロと疫病を恐れているんだ」。その不安はハンガリー系住民が大半を占めるガブチコボ村の住民の多くが表明しているものだ。
これまで東欧は、難民に対して最も厳しい立場をとってきた。人種や宗教、民族などの面で社会の同質性が高いリトアニアやポーランド、スロバキアなどの国々は、非欧州人を社会に統合した経験が乏しいことを挙げ、外国人嫌悪が広がる恐れがあると懸念を表明している。
また東欧各国は、西欧と比べて経済的に貧しく、中東における紛争についても知識が乏しいことから、衝突が続くウクライナからの難民受け入れの方がはるかに適していると主張している。チェコやポーランド、スロバキアなどの国々は、各国の難民割り当て人数の義務化に繰り返し反対してきた。
住民の恐怖感は主に、難民の多くがイスラム教徒であることから生じている。スロバキアは先月、シリア人200人を難民として受け入れると表明したが、受け入れる難民をキリスト教徒に限定した。イスラム教徒はスロバキアでの暮らしになじめないだろうというのがその根拠だった。
チェコで今年6月に実施された世論調査では、シリアと北アフリカからの難民受け入れに反対する人は70%に達した。「人々は個人的経験に欠けており、未知のことを恐れている」とチェコの社会学者ヤナ・レオンティエバ(Yana Leontiyeva)氏は指摘する。