【9月11日 AFP】西欧を目指す移民らが大量流入しているハンガリーで、セルビアとの国境に近い南東部ロスケ(Roszke)にある難民キャンプ内で移民らが「おりの中の動物」のように扱われている様子を撮影した動画が公開された。

 動画は、9日に同キャンプを訪れたオーストリア人の女性ボランティア、ミヒャエラ・シュプリッツェンドルファー(Michaela Spritzendorfer)さんがひそかに撮影したもの。広いホール内でヘルメットをかぶりマスクをしたハンガリーの警官たちが投げ込んだパンを、フェンスで囲われた中にいる移民たちが先を争って奪い取る様子が映っている。難民の数は150人ほどだ。

 女性や子どもたちは、空腹を満たそうと飛んでくるパンに必死で手を延ばす男性たちの群れにのみ込まれ、後方の移民たちは警官に気付いてもらおうとフェンスの上によじ上り手を振ったり叫んだりしている。

 シュプリッツェンドルファーさんと共に同キャンプを訪れたボランティアのクラウス・クフナー(Klaus Kufnerr)さんは「おりの中の動物に餌をやっているような光景だった。まるで、欧州のグアンタナモ(Guantanamo)だ」と、同キャンプを収容者への過酷な拷問が非難されているキューバの米海軍基地に例えた。

 クフナーさんは、セルビア国境を越えてきた難民数千人を支援しようと食料や衣服、医療品を持ってシュプリッツェンドルファーさんと共にロスケの難民キャンプに来たとAFPに語った。

 シュプリッツェンドルファーさんは「非人間的な光景だった。彼らは明らかに空腹だったのに食べ物をめぐって争わなかったことを、この動画ははっきり示している」と語った。シュプリッツェンドルファーさんの夫はオーストリアの緑の党(Green Party)ウィーン(Vienna)支部の議長。

 動画は10日夜に動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」に投稿された後、11日朝までに2万回以上再生されソーシャルメディアでも広く共有された。(c)AFP/Nina LAMPARSKI