【9月10日 AFP】エジプトで、成績トップクラスの女子生徒が卒業試験で全科目0点という結果に終わり、反腐敗のシンボルとして思わぬ注目を集めている。

 中部ミニヤ(Minya)州の小さな町に住むマリアム・マラク(Mariam Malak)さん(19)は教師の娘で、兄2人と同じように将来は医師になるという夢を持っている。過去2年間の試験では得点率97%で、最高レベルの成績を収めていた。

 ところが、今年受けた卒業試験の結果は落第で、マラクさんは衝撃を受けた。今や地元メディアに「0点女子生徒」の異名で報じられているマラクさんによると、答案用紙は他の誰かのものとすり替えられていたという。筆跡が明らかに自分のものではなかったというのだ。

「試験結果を知ってから、悪夢の中に住んでいます」と、首都カイロ(Cairo)でAFPの取材に応じたマラクさんはやわらかな口調で語った。「私の答案のコピーだというものを見せられたときは、自分の目を信じることができませんでした」

 マラクさんの弁護団は、答案用紙が有力者の子どものものとすり替えられた可能性が高いとみている。

■驚きの筆跡鑑定結果

 自分が不合格だとは信じられなかったマラクさんは、まず中部アシュート(Assiut)の教育当局に訴えたが、取り合ってもらえなかった。そこで、今度はアシュートの検察当局に答案の筆跡鑑定を依頼した。しかし、驚くべきことに検察の科学捜査班はマラクさん本人の筆跡に間違いないと断定し、捜査は終了してしまった。マラクさんはこの結果に対し、異議を申し立てた。

 マラクさんの兄によると、鑑定結果を聞いたマラクさんは卒倒してしまったという。しばらく入院した後、マラクさんは点滴をしたままテレビに出演し、涙ながらに「私は汚職と闘っています」と訴えた。

 マラクさんが2度目の異議申し立てを行うころには、問題はテレビのトークショーや新聞で盛んに取り上げられるようになった。マイクロブログのツイッター(Twitter)上では、人々がハッシュタグ「I believe Mariam Malak(私はマリアム・マラクを信じる)」を付けて話題にした。

 やがて、この一件はついにイブラヒム・メフレブ(Ibrahim Mahlab)首相の知るところとなり、首相はカイロでマラクさんと面会すると、全面的に支援するとの声明を発表した。

 検察当局は現在、再捜査に着手している。今回はカイロにある科学捜査班が答案用紙の筆跡鑑定に当たるという。(c)AFP/Mona Salem