■フェイスブックを活用する密航業者

 しかし、欧州に3万人いる容疑者のうち、地中海ルートに関与しているのはその10分の1、わずか3000人に過ぎない。ユーロポールの管轄下には、最近人気が高いバルカン半島西部を経由してハンガリーへ入るルートも含まれている。

 欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス、Frontex)によれば、移民への密航あっせんは、人身売買や性的搾取、労働搾取とも結びつき、組織犯罪を行うギャングたちにとって現在、武器売買や薬物取引よりも儲かる稼業となっている。

「おそらく、今最も利益を上げることができるビジネスだ」とフロンテックスのイザベラ・クーパー(Izabella Cooper)報道官はAFPに語った。

 密航業者たちは宣伝や価格交渉、移民のための行程や時間の調整にフェイスブック(Facebook)などソーシャルメディアの活用度を増している。

 捜査は複雑だ。チレピンコ氏によれば、国籍も宗教も異なる業者たちが商売のあるところに集まり「流動的に」グループを組織している。

 例えば、最近ギリシャで摘発された16人のグループの国籍は、シリアが7人、ルーマニア、エジプト、パキスタンが各2人、インド、フィリピン、イラクが各1人だった。

 このグループが主に密航させていたのはシリア人とみられており、偽造書類を用意しトルコ、ギリシャ経由で欧州まで空陸海のルートを使い、わずか数か月間で推計750万ユーロ(約10億円)を稼ぎ出していた。